開発とインフラ(2007年度夏学期)


講義基礎情報
科目番号:
開講学科:社会基盤学科

場所:工学部1号館13号教室

講義担当者:吉田恒昭(新領域研究科国際協力学専攻),加藤浩徳(工学系研究科社会基盤学専攻)

開講日時:金曜3限


講義のねらい
 一国の社会基盤は国家統治の要諦であり,国境を越える国際社会基盤は地球統治の要諦である.社会基盤は社会秩序を守り,人々の潜在能力を発揮する機会を提供し,生活の質の向上をもたらし,共同体や社会の福祉を支援し,経済成長に資するものである.社会基盤は上で述べた目的を支援する物的構造物を伴う諸制度と一体となった社会的装置と定義できる.開発途上国における社会基盤整備はミレニアム開発目標達成の視点からますます重要になってきている.それは社会基盤整備が人的資源開発と貧困削減に不可欠な要素であるからである.さらに,近年では国境を越える社会基盤ネットワークが統合化する世界の発展と平和構築の視点から地球公共財として認識され,その形成が大きな課題となっている.本講義の狙いは途上国におけるインフラ整備の主な課題を念頭において,日本のインフラ整備の経験を整理すること,国境を越えた地球公共財としてのインフラ・ネットワーク構築の最近の話題を提供すること,ならびにインフラ整備ならびに開発を理解するための基礎理論を紹介することである.要すれば,開発途上国におけるインフラ整備に要請される視座や課題についての基本的な知見を提供し,合わせてこれらの課題を経済学的視点から読み解く公共財と経済成長の基礎理論を議論する.


講義内容
講義は2部から構成される.第1部は吉田が,第2部は加藤がそれぞれ担当する.
【第1部(吉田)】
@インフラの定義
A日本の経済発展とインフラ整備
B日本の戦後復興と世界銀行融資プロジェクトである愛知用水事業の果たした役割
C経済統合とインフラ・ネットワークなど.
【第2部(加藤)】
D公共財理論の基礎
E経済成長理論の基礎


講義実施要領
【第1部】教材は毎回の英語のハンドアウトで講義6回(4/13, 4/20, 4/27,5/11, 5/18, 5/25)を予定.
【第2部】レクチャースタイルで講義5回(6/8, 6/15, 6/22, 7/6, 7/20)を予定.
注:講義日程が一部変更となりました.ご注意下さい.

成績評価:各部を50点満点で採点し,合算する.それぞれの部の評価方法は以下の通り.
【第1部】出席,クラス討論,5月中旬のレポート課題(less than 1000 words in English)を総合的に評価.
【第2部】最終回に期末試験によって評価.

参考文献
【第1部】
・「World Development Report 1994  Development and Infrastructure」, 邦訳 「世界開発報告 1994年,開発とインフラストラクチャー」
・「Systems of Infrastructure Development - Japan’s Experience」Akatsuka & Yoshida, 1997, Japan International Cooperation Publishing Co., Lt
・吉田恒昭のホームページ(検索にてアクセス可能)
【第2部】
・公共経済学に関連するものとしては,常木淳:公共経済学,新世社,1990;柴田弘文,柴田愛子:公共経済学,東洋経済新報社,1998;井堀利宏:公共経済の理論,有斐閣,1996など.
・経済成長理論に関連するものとしては,ジョーンズ・C・I:経済成長理論入門,日本経済新聞社,1999;ローマー・D:上級マクロ経済学,日本評論社,1998など.

本講義に関する問い合わせ等
 成績やスケジュールを含めた当講義全般に関わることは,加藤浩徳(kato@civil.t.u-tokyo.ac.jp)まで連絡すること.また,講義に関連する最新情報は,吉田恒昭のホームページ(http://www.toshima.ne.jp/~profty)および加藤浩徳のホームページ(http://www.trip.t.u-tokyo.ac.jp/kato)にて提供されるので,必要に応じて参照すること.